2015年1月1日
自転車が乗せられるバス 自転車ラックバス
道さえあればどこまででも走っていけるのが自転車の魅力。しかし体力的、時間的な問題は当然あります。自転車単体を交通手段として使うとなると、どうしても移動範囲が限られてしまうのが現実です。そこで、「輪行」という手段が登場します。自転車と公共交通機関とを組み合わせると、どこまででも自転車と一緒に出かけることができるようになるのです。
輪行する際には、通常であれば自転車を分解、または折りたたんで輪行袋に収納する必要があります。分解も袋も必要ない、自転車をそのまま積み込むことができる電車も、ローカル線などを中心に広がりを見せつつあります。
江若バスの「自転車ラックバス」は、車体前方に設置されたラックに自転車を積み込んで、走行できるバスのこと。載せられるのは1台のみですが、折りたたんだり、袋に入れたりする必要はありません。積み下ろしは乗務員が担当、自転車の料金は無料です。自転車を乗せる専用ラックが、愛車をガッチリとホールドしてくれますので、グラグラしたり、落ちたりという心配もありません。「友人と2人での移動はどうすればいいの?」という声がありそうですが、実は江若バスでは通常の輪行もOK。1台はラックに乗せて、もうい1台は輪行袋に入れて車内へ…… そんな移動もできるというわけです。江若交通運輸部企画課の杉江繁和課長、大槻幸彦主任にお話をお聞きしました。
自転車ラックバスの利用はかんたん。予約なども必要ありませんので、停留所で自転車ラックバスが来たら乗り込むだけ。その際に、前扉から乗務員の方に「自転車を載せたい」という旨と、「降車停留所」を伝えるだけ。乗務員さんがしっかりラックに愛車を固定してくれますので、安心してバス移動ができるというわけです。
2012年、まずは吉台線(比叡山坂本駅〜日吉台団地方面)で運行を開始。吉台線は日吉台団地に住む方の足にもなっている路線。地名に「台」がついていることからもわかるように、この団地は急勾配の上に建っています。お買い物に行くため、駅へと向かう往路は自転車でスイスイ出かけられますが、帰りは上り坂に加え、お買い物の荷物もあって大変です。そこで自転車ラックバスが効果を発揮。帰りは自転車をバスに積んでもらい、ゆっくり座って帰宅できるというわけです。この路線は団地の方の足として使われ、ご年配の方だけでなく、若い方の利用も多かったといいます。
吉台線の好評を受け、2013年4月には堅田駅〜細川線でも自転車ラックバスを運行開始。運行区間が長く、利用しやすい路線であることや、自転車ラックバスの認知度も徐々に高まってきたこともあり、自転車旅行や観光目的利用も増えてきているそうです。
現在はまだラック付きの車体は2台のみ。堅田駅〜細川線では1日3往復程度の運行にとどまっています。また吉台線は住民の便も考えて1年中運行していますが、堅田駅〜細川線は4月から11月の期間のみ「いつでも、どこでも」というわけにはいきません。もっと増やしたいという意向もあるそうですが、まだまだ情報の周知も利用者数も物足りない状況のようです。
今後は自転車ラックバスが走っているという事実をもっと多くの方に知ってもらい、利用促進を図るのが課題。その結果を受けて、台数の増加や運行エリアの拡大に繋げるのが目標です。「ビワイチをする人にも自転車ラックバスを使ってもらいたい」というのも希望のひとつ。将来的には「びわ湖大橋を渡るルートを走らせたい」との希望もあるとか。増便や運行ルートの拡大、情報の周知等で利便性をアップさせ、より多くの人に自転車ラックバスを使ってほしいと担当者のおふたりは話します。びわ湖一周をする人、生活に自転車を活用する人、さまざまな場面で必要に応じて「バス + 自転車」という新しい移動方法が根付き、滋賀が元気になるのが江若バスさんの願いなのです。
自転車ラックバス
江若交通
積載可能時間 : 終日
料金 : 無料